書評『スモールワールド/ネットワークの構造とダイナミクス(ダンカン・ワッツ):Small World/The Dynamics of Networks between Order and Randomness (Duncan J. Watts)』

前述のカウフマンの著作にも連なるが、蛍の連動のような群知能に関わる事例から、スモールワールド現象とも呼ばれる六次の隔たりに関する事例などに始まる、これまでの科学には単純に収まりきらないような多様な新しい数学や科学が生まれ始めている状況を楽しく読むことができる一冊。数学や科学が必ずしも1:1の答えを与えてくれるものではなく、それでもそれが新しくかつ豊かな示唆や価値観、具体的な成果を与えてくれる科学であること、そうした考え方をプロダクションやデザインに応用する手法やマインドがまだ全くといっていいほど未開拓な分野であることを感じてもらえるのではないか。

KT