書評『シマウマの縞、蝶の模様(ショーン・B・キャロル):Endless Forms Most Beautiful (Sean B Carrol)』

進化発生生物学(Evolutionary Developmental Biology, 略してエボデボ)という新しい分野での、遺伝情報と生物の特性の発現に関する最近の理解を共有してくれる密度ある一冊。ミツバチと人間は9割近くの遺伝子構造を共有しているなどと言うけれど、僕らは生物である以上、虫だろうがヒトだろうが、かなりの部分共通の遺伝子の「ツールキット」をいるのだそうだ(太陽光、酸素、たんぱく質などをベースにしたシステムが共通なのだから当然といえば当然なのだが)。それらを時系列的にプログラムを組むように、限られた発現遺伝子とスイッチとタイミングとの組み合わせで、あまりにも多様な生物の組成や特性を形成しているらしいという新しい理解を、実例を多く具体的に示しながらわかりやすく見せてくれるのはタイトルの通り。生物や化学分野と建築やデザインという分野が、情報学やプログラミングを介して同じプラットフォームに乗りうる具体的な道筋を示してくれる。

KT